高次脳機能障害が不安な方へ
高次脳機能障害とは
高次脳機能障害とは,病気や事故などの様々な原因で脳が部分的に損傷されたために,言語,思考,記憶,行為,学習,注意などの知的な機能に障害が起こった状態を指します。
交通事故の場合,自動車と衝突したり,転倒して地面に頭を打ち付けられるなどして,頭部に強い衝撃が加わることも少なくありません。
その結果,脳に損傷が生じ,高次脳機能障害が起こる場合があります。
高次脳機能障害の特徴
高次脳機能障害の特徴として,以下のような症状が現れることがあります。
・記憶力・集中力・判断力・遂行能力などの低下
・性格が攻撃的・暴力的になる
・感情の抑制ができなくなり喜怒哀楽が激しくなる
・消極的になったり,逆に極端に活動的になる
・病的な嫉妬や被害妄想
・四肢の麻痺や歩行障害
上記症状が複合的に現れる場合もあれば一部のみ現れる場合もあり,その症状の程度も人によってさまざまといえます。
高次脳機能障害の後遺障害等級
高次脳機能障害は,その症状の程度に応じて1~9級が認定される可能性があります。
別表第1
1級1号:神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
2級1号:神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
別表第2
3級3号:神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
5級2号:神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
7級4号:神経系統の機能または精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
9級10号:神経系統の機能または精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
ご家族が高次脳機能障害かもしれないと思ったときは
事故に遭ったご家族の様子を見て,少しでもおかしいと思ったら,必ず,医師に症状を漏れなくお伝えください。
高次脳機能障害は,ご家族が異変を伝えないと医師や看護師でも見落としやすい病気です。
もし,医師が見落としてしまうと,当然カルテや診断書にも記録が残らないため,後日症状の有無について争いになってしまうおそれもあります。
また,高次脳機能障害の場合,事故に遭った被害者自身が,症状を認識する能力を失ってしまうこともあります。
そのため,事故前との比較や,その後の症状の変化などは,ご家族の方が正確に把握できる場合も少なくありません。
ですので,被害者に少しでも気になる症状や言動があった場合は,ノートなどにできるだけ詳しく記録を残しておくことも重要です。