交通事故とムチウチ
ムチウチとは
交通事故に遭った場合、事故の衝撃で、身体が強く揺さぶられ、首や腰を痛めることがあります。
このような、追突された衝撃等により,頚椎(首)などに外力が加わり,その関節が持つ運動範囲以上の動きをすることで,筋肉などを損傷することによって生じる症状全般を「ムチウチ」と言います。
症状としては,首から肩にかけての痛みのほか,派生症状として,頭痛やめまい、吐き気などが生じることがあります。
診断書上は、「ムチウチ」とは呼ばず、「頸椎捻挫」や「外傷性頚部症候群」などという診断名が記載されることが多いです。
ムチウチでも慰謝料を受け取ることができる
ムチウチは,レントゲンやMRIなどを撮影しても,外見上は異常が見当たらないことが多い症状です。
このような場合でも,交通事故のために痛みや苦しみといった精神的苦痛を被ることには変わりありません。
そのため,きちんと通院することでそれに見合った慰謝料を請求することができます。
ムチウチと後遺障害
ムチウチの症状がなかなか治らず、首や腰に痛みを残したまま完治せず治療が終了となる場合があります。
ムチウチの症状はレントゲンやMRIで検査しても異常が見つからないことが多く、他人が外から見ても痛みがあるのかないのかわからない場合がほとんどです。
このような場合でも、治療の経過や診断書の内容等によっては、後遺障害として認めてもらえる可能性はあります。
もっとも、目に見えない症状なので、通院状況や診断書の内容は、通常の後遺障害よりも一層重要となります。
そのため、通院段階から弁護士と相談して、適切な通院方法や治療内容、医師・保険会社の担当者とのやり取りの際の対応の仕方などのアドバイスを受けておくことをおすすめします。
ムチウチの治療期間
ムチウチは,レントゲンやMRIで調べてみても異常がなく,本人の自覚症状以外に症状を裏付けるものがないことが少なくありません。
とはいえ,保険会社も,被害者が「痛い」と言う限り,永遠に治療費を支払い続けるということはできません。
そこで,治療の経過や内容,通院の頻度,医者の意見,事故態様や車両の損傷状況など,客観的な事情を踏まえて,治療期間を決めることになります。
目安としては,上記の判断要素を考慮し,3~6カ月程度の期間を認めることが多いといえます。
ムチウチの慰謝料の相場
慰謝料は,事故により被った精神的苦痛を金銭的に賠償してもらうものです。
慰謝料の計算基準は,大きく分けて①自賠責保険基準,②任意保険基準,③弁護士基準(裁判所基準)の3つがあります。
一般的に,弁護士基準で計算する場合が最も高額となります。
たとえば,ムチウチで約6か月間,実日数で60日間(週2~3回のペース)通院した場合,自賠責保険の基準で計算した場合50万円前後となります。
一方,弁護士基準で計算した場合,90万円前後となることが多いです。
弁護士を通じて交渉した場合,慰謝料の金額が大きく変わる場合がございますので,まずは一度相談してみることをおすすめします。